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「ステロイド」推奨医師に難治化アトピー患者が思うこと

もう皆さんも目にしたことでしょう。

ここのところ、まるで皮膚科界にあらわれた正義のヒーローのごとく、SNS等でステロイド推奨を声高に行っている御仁、大塚篤司医師の記事を。

あの日お会いすることができなかった「脱ステ」ママへの手紙

 

ステロイド依存症患者からしてみたら悔しい記事です。悔しすぎて忸怩たる思いでいたのは私だけではないはずです。

やはり、医師と患者の間には、情報の非対称性という高い壁がそびえ立ち、患者側が医者をロジカルに批判するのが情報量的にも難しいのです。

だれか専門医が反論してくれないかなと待ってたら、以下のブログで佐藤先生が批判されました。

佐藤美津子のブログ

僕らの悔しさを、医学的見地から代弁し反論してくださってますので必読ですね。

 

さて、私は患者側からの思いを綴ってみようかと思います。

以下、大塚医師への書簡になります。お読み下さいませ。

ステロイド推奨の専門家、大塚篤司医師への手紙

なぜ、ステロイドを使いたくないのかについて

ぼくら難治化アトピー患者は、大塚先生もご理解されているように、ステロイドが効かなくなったタイプの人間です。

〜大塚氏記事より〜
あなたもご存じのように、ステロイド外用薬にも副作用があります。長期間使用することで皮膚が薄くなります。薬の効きが悪くなる人もいます。ちゃんと塗っているのによくならない人だっています。ステロイド外用剤の使い方を一切教わらず、アトピーが全然良くならなかった患者さんもいます。

このタイプは、ステロイド使用者の10人に1人と推察されるので、日本にはかなりの患者が存在しているはずです。肌感覚でご存知ですよね?(※詳しくは、こちらの過去記事を参照ください)

僕らは、ステロイド依存症となり、ステロイドが効かなくなったばかりか、自からの皮膚でステロイド産生ができなくなりました。(※こちらの過去記事にあるように、健康な皮膚では自らステロイドが作られます)

そんな八方塞がりな状況を、脱ステロイドで直さざるを得なかったのです。よってステロイド皮膚症が完治(アトピー完治とはまた違う話)した今も、ステロイドは憎々しい存在です。

もっと言えば、一割の高確率で人を不幸にするステロイドは、薬としては不完全すぎて推奨すべきものとは思えません。ましてや、ろくなエビデンスもないのに唯一無二の薬として学会ガイドラインに記載され、市中の皮膚科医に推奨されるなんてもってのほかではないでしょうか。(アメリカの皮膚科ガイドラインは日本のようなステロイド信仰に毒されてないと聞きます)このような事を続けていたら、我々患者が行なう前に、まず良識のある皮膚科医に訴えられますよ?

 

プロアクティブ療法とデュピルマブについて

そんなステロイド依存症患者の僕らに、大塚先生が推奨される「プロアクティブ療法」「デュピルマブ」。両療法ともにステロイドを使用する治療であります。(※デュピルマブは監督省庁ガイドラインではステロイドとの併用が推奨)ステロイドが効かなくなった難治化患者にステロイドを塗ってどうしたいのでしょうか。

仮に、単体でデュピを使ったとしても、ステロイド依存同様に、デュピ常用で、自分で解決する力を失ってしまう可能性はありませんか?また、販売間もない臨床データ不足の新薬に副作用の恐れはないのでしょうか?そのようなリスクを承知で、決死の思いで使用している仲間もいます。大塚先生はそのような患者の思いをご理解されてますか?

 

あまりにも稚拙な言い訳と記事のタイミング

救えなかった脱ステママへの言い訳と今回の記事のタイミングについても、ひとこと言わせて下さい。

〜大塚氏記事より〜
言い訳させてください。私たち皮膚科医はステロイドにまつわる嘘とデマをかき消すので精一杯だったのです。治るはずの人たちが嘘の情報に惑わされ苦しんでいるのをなんとかしたかったのです。でも、その過程であなたのような本当に困っている人たちに気がつけなかった。気がついてはいても見て見ぬふりをしてしまった。20代の頃の私は医者としても未熟でした。

なんとお粗末な言い訳なのでしょうか。批判を語る気にもなりません。最後の一文も気になります。20代の頃は未熟だと自ら仰られていますが、20代だろうと何だろうと患者にとっては医者は医者なのです。

そして、この記事のタイミングもなんだか好きになれません。大塚先生が信じている新たなアトピー治療(僕らに言わせると何の解決の足しにもなっていない)が世に出てなかったら、この記事、お書きにならなかったのではないでしょうか。今だに嘘とデマをかき消すので精一杯(何がどう精一杯なのか良く分かりませんが…)で、見て見ぬふりを続けてるに違いない、と思うのは穿った見方でしょうか?

 

ステロイドを推奨し確信犯的に脱ステを貶める

世にはびこる脱ステロイド悪徳商法を批判している大塚先生の記事。批判してしかるべきと私も強く思います。しかしこの記事は、狙ってか狙わずか、「脱ステロイド」という総称を批判しているので、多くのステロイド依存患者を助けた阪南中央病院等の正統派脱ステロイド治療まで一緒くたに批判していることになります。そして、社会的認知が高まっている脱ステロイド治療病院とその治療法を、一切無視しています。このような、確信犯的といっても差し支えのない、批判や記述の数々は、正しい脱ステロイド治療を望む多くの人々をミスリードし、治療の選択肢を狭める結果となってしまっています。

 

手紙の最後にお伺いしたいこと

手紙の最後になりますが、大塚先生にお伺いしたい。

この記事を書かれた意図を教えてください。ステロイドを推奨したかったのですか?脱ステロイドを批判したかったのですか?まさか売名行為ではないですよね?恥ずかしながら、何度よんでも意図が分からないのです。回りくどい文章の体裁も手伝って、よめばよむほど分からないのです。

でも、ステロイド依存症になってしまった患者の思いや、その治療方法について、無理解であることだけはよく分かりました。ステロイドに苦しむ多くの患者にも、うわべだけでなく心から寄り添った発信をしていただきたいと切に願います。そして、大塚先生があの日出会えなかった脱ステのお子さんとお母さんの幸せを、同じ患者として心から願います。

 

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